最近、街中やSNSでピラティスを見かける機会が増えた。気になっているけれど、どうしてここまで人気なのだろう。そんな疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
ピラティスには、100年以上の歴史があります。その長く受け継がれてきた運動が、今、改めて注目を集めているのはなぜなのでしょうか。
今回は、FLATTEのポッドキャスト「ウェルネスカフェ」のシリーズ「FLATTE JOURNAL」から、ピラティスの歴史と海外のデータを紹介します。さらに、FLATTEの現場で感じていることを手がかりに、人気の背景と、これからのスタジオ選びについて考えてみます。
100年以上前から続く、心と身体に向き合う考え方
ピラティスを考案したのは、1883年にドイツで生まれたジョセフ・ピラティスです。
体操やボクシングなどに親しんだ彼は、第一次世界大戦中、英国で抑留されました。マン島のノッカロー収容所で過ごした時期にも、周囲の人々に運動を指導しながら、自らのメソッドを発展させていったとされています。
彼が後に「コントロロジー」と呼んだメソッドでは、身体と心の調和が大切にされていました。その考え方は、1945年の著書『Return to Life Through Contrology』にも示されています。
身体をどう動かすかに意識を向け、自分自身の状態と向き合う。今のピラティスにも通じる考え方は、長い時間をかけて受け継がれてきたものなのです。
海外の予約データにも表れるピラティス人気
ピラティスへの関心の高まりは、海外のフィットネス予約データからもうかがえます。
世界各地のジムやスタジオ、ウェルネス施設を予約できるサービス「ClassPass」。同社が発表した「2025 ClassPass Look Back Report」では、ピラティスが同サービス内で3年連続、世界で最も予約されたワークアウトになりました。
同レポートでは、次の数値も公表されています。
| 項目 | 公表された数値 |
|---|---|
| ピラティス全体の予約数の伸び | 前年比66%増 |
| リフォーマーピラティスの予約数の伸び | 前年比71%増 |
| ピラティスの予約件数 | 1,500万件超 |
※レポートの集計対象は、2025年1月1日〜10月10日のClassPass内の予約データです。世界のフィットネス市場全体の予約数や、利用者の実人数を表すものではありません。
出典:ClassPass「2025 ClassPass Look Back Report」
施設づくりにも動きがあります。米国の大手フィットネス企業「Life Time」は、2026年2月の発表で、同年に開業を計画している12〜14の新施設すべてに、ピラティススタジオを設ける方針を示しました。
予約の増加に加えて、大手企業が継続的に設備を整えていることからも、ピラティスが運動の選択肢として存在感を高めている様子がうかがえます。
では、なぜ今なのでしょうか。ここからは、こうした海外の動きとFLATTEの現場を手がかりに、その背景を考えてみます。
「これからも動ける身体でいたい」という願い
背景の一つとして考えられるのが、運動に求めるものの広がりです。
たくさん汗をかくことや、筋力を高めることに加えて、「身体を整えたい」「柔軟性や動かしやすさも大切にしたい」「長く動ける身体でいたい」。そんな思いから運動を始める方もいると、私たちは現場で感じています。
今の見た目を変えることも、これから10年、20年、30年と自分の身体を使い続けることも、運動を始める大切な動機です。
自分の身体の状態を確かめながら、動き方に意識を向ける。ピラティスのそうした時間が、将来の自分のために身体を大切にしたいという気持ちに、合っているのかもしれません。
私たちの健康や運動に対する価値観が、長く受け継がれてきたピラティスの考え方に近づいてきた。そう捉えてみると、今の人気にも、少し違った意味が見えてきます。
SNSがきっかけになり、体験が「続けたい」につながる
もう一つ、ピラティスに出会うきっかけとして考えられるのが、SNSです。
特に、専用マシンを使うリフォーマーピラティスは、写真や動画で目にする機会の多いスタイルです。リフォーマーは、ベッドのような形のフレームに動く台やバネ、ストラップなどを備えたマシン。負荷を調整しながら、さまざまな動きを行います。
特徴のあるマシン、流れるような動き、スタジオの空間。InstagramやTikTokで見かけて、「一度やってみたい」と感じた方もいるのではないでしょうか。
そして、実際のレッスンには、画面を見ているだけではわからない体験があります。
思っていた以上に身体を使う感覚。普段は意識していなかった身体のくせへの気づき。レッスンを終えたあとの心地よさ。
感じ方は人それぞれですが、そうした発見が「また受けたい」という気持ちにつながっていく。SNSによる出会いと、実際に通って感じる価値が組み合わさっていることも、人気を支える要素ではないかと考えています。
スタジオに足を運ぶ時間そのものが、一つの体験になる
動画やオンラインレッスンを使って、自宅で運動する選択肢もあります。その中で、わざわざスタジオに足を運ぶ時間には、どのような価値があるのでしょうか。
リフォーマーピラティスのスタジオには、専用のマシンがあり、動きを見てくれるインストラクターがいます。自分では気づきにくい動き方を教えてもらったり、その日の状態に合わせて取り組み方を相談したりできることは、対面で受けるレッスンの魅力です。
日常から少し離れて、自分の身体に集中する。その時間や空間も含めて、一つの体験になっているのだと思います。
海外には、ホテル滞在の中にピラティスを取り入れる例もあります。メキシコの「フォーシーズンズ リゾート プンタミタ」は、2026年1月、6台のリフォーマーを備えた「Pilates & Posture Lab」を発表しました。
出典:Four Seasons公式発表(2026年1月16日)
こうした事例からは、ピラティスが旅先での過ごし方や、自分をいたわる時間にも取り入れられていることがわかります。暮らしの中で、どのように自分の身体と向き合いたいか。その選択の一つになっているのかもしれません。
ブームの先で選ばれるのは、どんなスタジオか
ピラティスを始める場所が増えると、選ぶときの視点も変わっていきます。
最初は「近くにスタジオができたから、行ってみよう」。そこから「どのスタジオが自分に合っているだろう」「誰に教えてもらいたいだろう」「ここなら続けられそうだろうか」と、より具体的な選択になっていくはずです。
そのときに大切になるのが、一回一回のレッスンで、どのような体験ができるかということです。
FLATTEでも、レッスン研修やトレーナー同士でレッスンを受ける機会を通じて、「お客様にとって、良いレッスンとは何か」を改めて見直しています。教える側の視点に加え、受ける側になってみることで気づくこともあるからです。
広告やSNSを通じて知っていただくことも、もちろん大切です。そして、そのきっかけから足を運んでくださった方が、「ここに来てよかった」「また通いたい」と思える体験を積み重ねることが、長く続けていただくために欠かせないと考えています。
誰が、どんな思いで、どんな体験を届けているのか。ピラティスが身近になるほど、その一つひとつが、スタジオを選ぶ理由になっていくのではないでしょうか。
これからピラティスを始める方も、スタジオやマシンの印象とともに、実際に受けたときの感覚や、トレーナーとのやり取りに目を向けてみてください。自分に合った場所との出会いが、運動を続けるきっかけになるかもしれません。
本記事は、FLATTEのポッドキャスト「ウェルネスカフェ」第16回「【FLATTE JOURNAL】100年前からあるピラティスが、なぜ今ブームなの?|世界で広がるリフォーマー人気の背景」をもとに、公開資料の確認と一部補足を行い、記事として再構成したものです。